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このままでいいか?学校の多忙化

複数の学校で学校運営協議会委員の仕事を務めさせていただいています。
と書き出しましたが、ここで取り上げるのは、地域運営学校(コミュニテイー・スクール)についてではありません。その会合で学校に伺うたびに感じる、学校の多忙化について述べたいのです。

地域運営学校、学校運営協議会については、少々説明が必要かもしれません。
平成16年に「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が改正され、地域に開かれた信頼される公立学校の実現を目指して、学校運営協議会制度が創設されました。この規定に基づき、学校運営協議会が設置された学校が地域運営学校です。

地域運営学校では、保護者や地域住民の合議制機関である学校運営協議会が定期的に開催されます。教育委員会、校長と責任を分かち合いながら学校運営に関わり、信頼される学校づくりが目指されるわけです。というわけで、この協議会には、保護者、地域の方々の意見を反映させるという性格から、委員の多数を占めるのは保護者や地域の関係者です。昼間はそれぞれに仕事を持っておられる方が大部分ですので、会合の多くは、午後6時過ぎに設定されます。会が終わるのは8〜9時過ぎです。子どもたちはとっくに下校している時刻です。職員室はがらんとしているはずです。ところが、ところがです。そこにはかなりの数の教職員が職員室に残っておられ、その先生方がどなたも真剣に仕事と取り組んでおられるようなのです。

「多忙化」の実態は学校規模や学校の抱える課題等によって一様ではないものと思われます。しかし、多忙化の実態に関する私の質問に対して、多くの学校関係者が異口同音に、学校多忙の深刻化を話されるのです。「先生方のメンタルヘルスが気がかりです」と付け加える校長先生も複数おられました。

いま毎時の授業を取り上げても、基礎・基本の定着と同時にその基本的な知識・技能を活用する力が求められ、授業の準備に多くの時間が必要になっています。
以前、職員室に残っておられた先生にお尋ねしたのですが、やはり、次の日の授業の準備の大変さをあげる先生が大勢おられました。ついで、子どもの指導に関する事務をあげる方が多かったように思います。

多様な課題を抱える子どもの指導、家庭・地域との連携にかかわる対応なども多忙化をもたらしているようです。そのことにかかわって、子どもの指導に関する問題や保護者等からの指摘・要望への対応なども加わり、ストレスを蓄積する場合が多くなっていることも耳にしました。
職務との関係から多忙化が限度を超え、勤務条件や職場の人間関係などから精神的にダメージを受けるような場合は問題が深刻化します。多忙化・多忙感解消に機能する校内体制づくりを積極的に進め、課題解決に向けて自校の実態に即して学校経営上の工夫を凝らす。そのことによって、組織を生かし協働で当たることのできる体制を確立することが重要な課題になっていることは確かです。

多忙感、孤立感の解消のために、まず、会議・打ち合わせ、事務・報告書作成、あるいは学校運営にかかわる業務、子どもの指導、家庭・地域への対応等に関して、どこに問題があるかを徹底的に見直すことが事態改善の第一歩と思われます。
次に、その見直しに基づき、校内指導体制や校務分掌の適正化、事務の合理化、情報機器の導入などによる改善を進める必要があります。
一体感を持って職務に取り組むことのできる、生き生きとした学校、職場をつくることが求められています。その際、全教職員が自分たちの手で指導組織の改善に取組むという協働の意識を持つことが大切だと考えます。温かい人間関係づくりに留意し、それぞれの課題や悩みを自由に話しあえる委員会、部会、学年会の時間の確保に努める必要も大きくなっていると思います。

メンタルヘルスに関してはケースによって対応が異なります。
多忙化の要因を分析的にとらえる必要があります。そして、深刻な事態を予防するという観点と、具体的な問題への積極的な対応という観点の両面から内容をとらえることが大切です。
実態に即して
@実態の的確な把握に基づく対応とその留意点
A教員の多忙感、孤立・消耗感を解消するための方策と緊密な人間関係の構築
B課題を抱える教員へのケースに応じる適切な対応
を中心に、全教職員が目的意識、達成感を感じることのできる指導体制の構築について、対応策を講じることが必要になっています。

学校教育目標実現のためには、すべての教職員の着実な職務遂行が欠かせません。そこに多忙感や心の問題が生じることは、教育活動全体に大きな影響を及ぼすことになります。学校運営、指導組織の合理化、適正化とともに、学校支援のネットワークを構築し、教員が「多忙感」をうむことのない健全な学校づくり、子どもの指導に力を注ぐことのできる指導体制の確立が強く求められています。

そうした学校づくりに向けて、学校運営協議会委員としては何ができるのか、これは、私自身に対しての課題です。

尾木和英
 (NPO法人 ILEC言語教育文化研究所代表理事)

【2015年6月】

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