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発問をみがく"

『現代国語辞典』(三省堂)では、「発問」を「相手に問いを出すこと」と説明しています。 学校の授業に近づけますと、教師が子どもに対して出す質問などですが、学校関係者にとっては、そんな解説は無用でしょう。
今月のエッセイには、その「発問」を取り上げました。
理由があります。発問の大切さを実感したからです。発問一つで、子どもの動きがガラッと変わることを実感したからです。
実感の経験をしたのは、昨年9月から本年1月にかけての、文部科学省の事業にかかわる授業体験です。小学校5年生相手に、20時間の授業をしたのです。この体験も、また別の機会に紹介したいと考えていますが、今回は、その時にしみじみ感じた発問の大切さについてです。
発問一つで、子どもの顔色が変わります。発問の工夫には、大きな意味がある、とまずこう前置きしておいて、ここが発問研究のポイントと思われることに絞って、このエッセイを構成したいと思います。

まず、発問の意義と役割です。
発問は、教師の発する意図的な質問によって、子どもの思考や活動を促すところに意義が認められます。優れた発問は子ども自らが考えること、活動したくなることを引き出します。その結果授業のねらいや課題解決に結び付くことになります。
したがって、原則的に言えば、授業展開の中心に位置づく主発問については指導計画にあらかじめ位置づけ、さらにこれを支える発問については指導の展開に応じ、その学習場面に即して創意を生かすということが求められます。

次に、発問の種類を整理しておきたいと思います。

  1. 目的によって
    導入のための発問、活動の発展のための発問、理解程度の確認のための発問、学習事項の強化をねらいとする練習のための発問、学習を発展させるための発問、狙いの達成度を把握する評価のための発問等
  2. 内容によって
    理解の程度を問う発問、発想を促す発問、思考とその理由を問う発問、学習事項の交流を促す発問等
  3. 時機によって
    導入に位置づく発問、展開時に位置づく発問、指導の流れに位置づく予定発問・即時発問、まとめの段階に位置づく発問等

発問を練るためには次のようなことが大切になります。

  1. どのような目的を持って発問するかを考える。(目的)
  2. 発問を投げかけるのはある特定の学習者か、グループに対するものか、学級全体か、といったことを考える。(対象)
  3. 事柄か、考えかなど、何を問う発問であるかを明確にする。(内容)
  4. どのような言葉を用いるか、どう問いかけるかなど、発問の仕方、表現の工夫について検討する、(表現)
  5. 予定している発問を指導展開のどのタイミングで発するか、臨機の発問をどうするかといったことを検討する。(時機)

発問はどのように磨けばよいでしょうか。

  1. 焦点を絞り込む発問。学習者の発言内容を確かめ、どこが中心になるかを気づかせるような発問を工夫する。
  2. 発想の転換を促す発問。ある箇所でつまずきを見せるようなときは、前の答えを踏まえて、学習が深まるような発問を工夫する。
  3. 理由や背景を考えさせる発問。
  4. なぜそう考えたのかを説明させる発問。答えが出にくいときは、自分の考えの根拠を考えさせ、これまでの学習や経験を生かして答えるように問いかける。
  5. 答えを出すためのヒントになる発問。あいまいな答えのときは、考えを整理する助言を加えて、もう一度問い直す。
  6. ノート、ワークシート、資料を活用しながら答えさせるような発問。
  7. 学習者にとって、指示、質問、助言、説明、評価など、その発問によって自分に何が求められているかがはっきりしている発問。
  8. 一問多答によって、学習が深まり発展するような発問。

 

最後に、発問検討に際しての留意点です。
効果的な発問について検討する際の留意点としては、次のことが挙げられます。

  1. 信頼感を基礎におく
    「もう一度本文を読み直そう。そうすれば、きっと違う見方ができると思うよ」
  2. 自信が持てるように勇気づける
    「前の時間、Aさんは・・の読みができたよね。だから・・理由についても、読み取ったことをまとめて答えられるね」
  3. 学習者の努力を認める
    「Bさんは、さっき一生懸命考えて・・の表現されているところに線を引いていたね。その内容について発表してください」
  4. 進歩が自覚できるように配慮する
    「Cさんは大切なところをノートに書き出すことができたね。だったら、この質問にも答えられるはずだよ」
  5. 学習集団全体に向かって投げかける発問と、個々の学習者、個人差に応じる発問とが整理されている。
  6. 発せられた発問に対して学習者が考える時間を考慮に入れる。
    常に学習者の立場に立ち、学習者の活動を促す発問、答えやすい発問、学習者を元気づける発問を心がけるようにしたいものです。

 

と、こんなことを、私は小学5年生の子どもに対する授業を進めながら、久しぶり真剣に考えていました。そして、いささかの実践を試みました。その内容の報告はまたの機会に譲らせていただきます。

 

尾木和英
 (NPO法人 ILEC言語教育文化研究所代表理事)

【2016年4月】

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